2009年5月15日金曜日

食べ物の好き嫌いについて

この写真の食べ物をご存知だろうか?

別に知る必要もないし、知っていても自慢にならない程度のプレートである。

昨夏、チェコはプラハのビアハウスで、このつまみをとった。
マッシュルームを細かいパン粉で揚げて、
少々のレモン汁、タルタルソース
さらに好みで好きなハインツのソースを加えて食す。

何と愛想のないアテだろう。
でも、こういうのが好きだ。一つの素材で勝負している。
マッシュルームが旨いから成り立つ、素朴な郷土料理の一つだ。
日本のビアホールでよく見かける、やっつけツマミとは品格が違う。

最近、食べ物の話が多い。
本分の写真の追究が疎かになっている、
かのように見えて、写真の練習も少々は……(^^

閑話休題。

この欄では、決まり文句のように皆が口にする
「食べ物には人それぞれ好みがあるから……」
という言葉に異を唱えておきたい。

グルメガイドに始終書き込んでいる自称・食いしん坊も、
調理人も、いざとなるとその論理に逃げ込んでしまう。

しかし、断言してもよい。

食べ物は旨い、不味い。突き詰めれば、そのどちらかだ。
好き、嫌いを否定はしないが、とにかく、試しに口にしてみてほしい。

真面目に作られたものが、旨くないはずはない(はず)。
味だけでなく接客のパフォーマンス、店内の雰囲気、客筋……
あと、はやりのCPというヤツの介入もあるにはあるが……

また、日本人の大いなる勘違いと言えば、、、

インスタントコーヒーや缶コーヒーと、
サイホンやパーコレーターでいれた珈琲をつい比べる。

カップ麺と、店で食べるラーメンも比べる。

なぜインスタント食品がホンモノに迫る必要があろう?
インスタントが悪いわけではない。
しかし、高級感を出そうとする姿勢が何とも貧乏臭い。
インスタントはインスタントとして颯爽としていればいい。

食べる側も、別の食べ物として扱うべきだと思う。
旨ければいいし、不味ければダメ。その判断は自由だ。

高い食材が成功するとは限らないし、輸入品がダメでもない。
ましてや養殖モノより天然、なんて愚の骨頂。
ウナギなど、エサの管理をしっかりしてやれば、
何をエサにしているか知れない天然ウナギより、確実に旨い。

真っ当な素材をフツーに調理する。
「旨い!」と言わしめるのには、それ以上の労苦も伴うだろうが、、、
食べ手としては、
好き嫌いは10代の早いうちから克服しておいたほうがいい。
何にでも興味を持って旨い、不味いを
感じ分けられる感性こそを養いたいものだ。

敬愛する故・伊丹十三の著書に、
料理上手になりたければ、料理学校などに月謝を払うより、
身銭を切って旨いといわれるモノを食べ歩け、という下りがある。

同感だ。
若い女性の後輩から同じことを尋ねられたことがある。

「まず年に400万円、5年で2000万円外食をしなさい」

これ以上の答えは思い付かないのであった、、、

写真は2008年6月28日午後10時27分、
チェコ共和国プラハ市郊外
RICOH Caplio GX100
f=2.5, 1/8, -0.3EV, ISO=800, Pattern, Jpeg
SILKYPIX Developer Studio Pro処理

0 件のコメント: