2009年6月9日火曜日

俺の借金全部でなんぼや

昨日は夏の賞与を巡る会社側の回答が示された。

会社側は2008年度の決算が創業初の赤字決算となったことと、
2009年度(つまり今年4月~来年3月)の黒字予算を編成するために、
今夏の賞与約40%減(前年比)を提示していた。

対して労組は「経営責任の総括が明確になされていない」
「業績連動の性格を持つ賞与の削減は仮にやむなしとしても、
将来の予算を黒字に保つための削減には納得できない」
「経営危機のさなかに1000億円超の成算の見込みも不透明な
巨大オフィスビルを含む再開発事業は見直すべきだ」
などなどを理由に突っぱねた。

そして、労組側は18.48%という「初の減額要求」を掲げた。

ところが昨日午後3時に会社側が示してきた回答は、
当初提示を約6.7ポイント譲歩した「33.31%減」にとどまった。

労組は会社側と直ちに反論団交に入るとともに、各職場において
午後6時から総決起集会を開き、怒りののろしを上げた、、、

普段は労組活動に熱心でない私だが、
今回の会社側のあまりに横暴な態度には腹を据えかねた。

5月26日午後3時から開かれた会社側による経営説明会では、
組合員の質問を代表取締役が「恫喝」する、
という信じがたい場面も目にした。

言論機関の経営陣のトップが一労働者の意見を、
権力を楯に封じ込めるというのは如何なものか。
経営の悪化以前に、
腐敗した社の内部を晒したともいえる愚行をトップ自ら犯すとは、、、

許されない暴言であった。即刻、発言の撤回と謝罪を求めたい。

出社前に「Holly's Cafe」でボリュームたっぷりのミックスサンドと
ガムシロを三つ投入したダッチアイスコーヒーで腹ごしらえ=写真。
総決起集会に臨んだ。

この店のサンドイッチはとにかく具材がぎっしりと詰まっている。
コンビニのサンドイッチの倍量は入っているのではないか?

コーヒーも旨い。中途半端な分煙体制を強いていない点もお気に入り。
京都・四条河原町店と大阪・堂島アバンザ店はよく利用する。

閑話休題。

労使交渉の話であった。

総決起集会は冠婚葬祭のように予め発言者まで用意された周到ぶりで、
お決まりの「満額、勝ち獲るぞー」のシュプレヒコールに終わった。

おかしなことに、労組のビラに載せる写真の撮影では、
カメラマンが「もっと前に寄って来てください」
「(会社側への不満を書き殴った)そのボードをこちらの角度へ」
「あなたは右側に立ってください」などと、数分間にわたって
事細かくポーズを要求する。

ヤラせ写真の最たるものだ。
許されない行為である。
日常、紙面に事件事故の写真を出稿している
写真記者が写し手であるからなおさらだ。

カメラマンを非難するつもりは毛頭ない。そう仕向けた労組幹部の
考え方こそ、既に常軌を逸しているというのである。

このようにして撮影された写真を見て、
会社側は「みんな、これだけ怒っているのか」と受け止めるだろうか?
真逆であろう。

報道現場においては絶対に許されない撮影・取材手法である。
組合活動なら許されるという論理はもはや通用しない。
というより、写真という「武器」の訴求力を履き違えてしまっている。

むしろ、集会参加者が閑散としている現状そのままを写し、
「労働者は怒りをぶつける気力さえ失っている」
と映像をもって訴えるのが真の写真ジャーナリズムではないのか?

写真の持つ説得力は、こちらの方がはるかに高いと思う。

ことのついでに明かしておく。

わが社において、歴代労組幹部(特に近年)は
上級管理職の意向によって「指名」された者が多くを占める。

本来なら部署ごとに推薦委員会を開き、
自由意思に基づく民主的信任投票がなされるべきところ、
いつのまにか所属長らの意に沿った人物が
「当選・着任」する、という摩訶不思議な構図が定着している。

過去に支部委員長を務めた某氏に尋ねると、
その職場ではある人物を支部委員長候補としていたにもかかわらず、
上部から「支部委員長は○○氏にやってもらう」との「鶴の一声」で
職場の内定候補は削除されたと聞いた。
しかも、上部の指名した「○○氏」はその時点で、
まだ職場には着任していない人物であった……

労組幹部(ことに日常業務から外れた専従職)という地位は、
出世の重要なステップに成り下がっている。
彼らの給与は組合費から全額支出されている「はず」だよね。
会社側が施設・活動費を含めて1円でも「援助」したら違法である。

結果、団交も「シャンシャン交渉」で終わり、
「なお要求と回答に大きな隔たりはありますが、
苦渋の決断をもって本闘争を終結させたいと思います」
との、判で押したような収束宣言で労使交渉は常にピリオドを打つ。

これが「御用組合」の実態である。

理を尽くせば労働組合法7条の不当労働行為
該当すると指弾されてもやむをえない現状である。

初期の動労国労全逓などのように、労働者が権利ばかりを主張して、
会社側の提示をすべて突っぱねていては社業自体が滞ってしまう。
労使協調も時には大切なことは百も承知である。

労使協調路線と「御用組合」は似て非なるものだ。

私の許せるボーダーラインは、余すところなく論議を尽くせ、
というところにある。

適当なところで手打ちをして、会社側と机の下でこっそり握手。
当のご本人はどんどん昇格、
なんてことは、そろそろやめよう、
時代は違うぞ、生まれ変わろう、と言っているのだ。

組合員のほとんどは「組合なんてこんなモノだ」
「どうせストライキなんか打てはしない」と諦めているであろう。

労組を率いる任に着いた瞬間に、会社に弓を引いたと同じことだ。
満身創痍、社内での居場所さえなくなるまで戦う「戦士」である。
一般組合員のために、時には職どころか命さえ賭す覚悟が必要だ。

それを一般組合員が
「我々のためによくぞ頑張ってくれた」
と労わり、カンパを集めて、矢も果てた労組幹部を助ける、、、
こういう本来の姿を決して忘れてはならない。

一つエクスキューズしておけば、そこまで有能な「労組幹部」は
戦術の立て方や交渉の駆け引き、経済・法的知識にも長けている。
そういう真の実力者なら、立場変わって経営者側に回っても
成功を収めるであろう。

ただ、そういう大人(たいじん)は10年に1人も出てこない。

断っておくが、私はひがんでいる訳ではない。
仕事は人一倍こなしているつもりだが、
出世に興味がないのはもちろん、
怠慢といわざるを得ない労組幹部の振る舞いに
素朴な違和感を持っているだけだ。

総決起集会後、労組幹部に個人的にいくつかの質問・提案をした。
しかし「アンタ一人の話をいちいち取り上げることはできない」
「そんなに不満があるのであれば、一人で本社に怒鳴り込んだら?」
と耳を疑うような返答しか返って来ない。

怒りを通り越して、哀れさを禁じえなかった。

食欲はなかったが、同僚のUさんが社員食堂に向かったのを潮に、
ビフカツ+納豆を「昼食」とした=写真。
具材の構成は加古川かつめしに似ているな、、、

疲れ、呆れ、情けなさがこみ上げた一日だった。

会社側はご丁寧にも、
信用組合を通じた「緊急融資制度」をはるか以前から用意していた。
実質年利0.6%、限度額100万円。
賞与のカット分はこれで補填してください、というわけだ。
こういうところは用意周到、その素早い対応に「喝采」を送ろう。

その融資の締め切りがこの10日。明日である。
労組は、スト権を行使するか否かを問う全員投票を構えているが、
住宅ローンなど、借金の取り立ては待ってくれない。

ほとほと、現実離れした「御用組合」なのである、、、
会社側に押し切られた以上、労組幹部の総退陣は免れまい。
言い訳は一切通用しない。
「出世」というエサに食いついた人物がいるのであれば、
自らの進退は自ら判断せよ。

組合員の負託に応え切れなかった時点で、引き際を悟るべきだ。
国民の負託を受けた国会議員(特に閣僚)が
公約を守れず出処進退を問われるのと何ら変わりはない。

ままごと遊びやないんやで、この世の中は。
「恥」を忘れたら、おしまいや、、、

有山じゅんじと上田正樹の
俺の借金全部でなんぼや」を、独り心の中で唄う。

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