DTWでの未現像フィルムの検査態勢について記しておきます。
あくまで07年7月17日現在の体験に基づくものであり、その後、検査が強化されていない保証はありませんので、ご注意を、、、
持ち込んだのはPKR(ISO=64)、RVP F(同100)、RXP(同400)のカラーポジフィルム、BW400CN、TX、TMY(以上同400)のモノクロフィルム約20本。さらにデジタルカメラ用のSDカード(SanDisk ExtremeⅢ 2GB×6枚、同UltraⅡ 512MB×2枚)。
検査官がオープンチェックに応じてくれなかった場合と機材の収納整理のため、king社製のX線防御用バッグ=写真=に詰めて機内持ち込み手荷物に入れました。このバッグはISO=1000までしか保証していません。モノクロフィルムはISO=1600~3200に増感して撮影する予定でしたので、全く油断は出来ないわけです。SDカードについては「X線の影響はない」という声も耳にしていましたが、念のためにフィルムと同じ扱いにしました。
JFK行きのターミナルに至るセキュリティチェックゲートには長い行列が出来ていました。検査機に通すため、脱いだ靴、ショルダーバッグ、ポケットの中のモノをすべてカゴに入れ、X線防御バッグを検査機出口にいたチョビ髭の検査官に差し出してオープンチェックを頼みました。最初は少し渋り気だった検査官も心得たもので、検査機越しにバッグをヨッコイショッと受け取ってくれました。この検査はアメリカ入国、国内線乗り継ぎの計2回あります。
どんな検査が行われるのか、、、増感を想定したフィルムを持って飛行機に乗るのは初めてでした。9.11同時テロ以降は世界的に検査機のX線出力をかなり上げている、とも聞いていましたので、検査機を回避できたことで胸を撫で下ろしながらも興味津々です。
結論をお話しましょう。推測ではありますが、検査官はフィルムに爆発物が隠されていないかを検査したのです。それも厳密な化学的な方法で、、、。KIXでは目視だけでした。これでは中に爆薬が入っていても決して見抜けません。
検査官はフィルムを3~4本ずつ直立状態で並べ、直径10cmほどの真ん中に穴の空いたレコード形の薄い濾紙でフィルムをケースの上から数回なぞります。それを傍らの分析器にセット、モニタに濾紙に含まれた化合物の種類がいくつかの波形で表されます。「ピー」と鳴れば、検知終了です。
爆発物は高濃度の窒素系化合物を含んでいるのが普通です。空中にわずかながら放出される窒素化合物を濾紙が捕らえれば爆発物の疑いあり、ということが、ある程度ではありますが確認できるのでしょう。
このエリアはもちろん撮影禁止。検査官は私に隠しもせず、十数分にわたって検査を続けたので、機器に書かれた記号やモニタの文字を懸命に読み取ろうとしました。しかし素人の私にはチンプンカンプンでした。
無事、検査は合格!
検査官のご機嫌も悪くはありませんでした。アメリカブランドのフィルムやSDカードが検査官の心証を良くしたわけではないでしょうが、そう信じておくことにします。その方が旅が楽しくなりますから。
これとは別に、TSAは一部の乗客に対して爆発物痕跡検知装置を使っているという話があります。見た目はどこの空港にでもある金属探知機の形をしていますが、機能は別物です。
ゲートをくぐる乗客に、かすかな風を吹き付けます。爆発物を取り扱っていれば、わずかといえども体や衣服にトリニトロトルエン(TNT)やヘキソーゲン(RDX)などの化学物質が付着しています。揮発したそれらの物質を捕らえ、痕跡を探ろうというものです。
さら、まだ導入はされていないとされてはいますが、ミリ波技術を使った検査機も試作されています。人体が発する高周波のミリ波と、高密度の爆発物のミリ波は自ずと性質が違います。それを検出するというものです。
乗客のスムーズな誘導と厳しい検査は相反する中、セキュリティチェックは日々進化しています。その間、テロリストも学習しています。科学の粋を極め、テロリストたちの企みを根絶出来る日は来るのでしょうか?
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